裏切りの街

あらすじ

菅原裕一(池松壮亮)はフリーターで、彼女であり会社員をしている鈴木里美(中村映里子)と同棲している。裕一はバイトを無断欠勤し、里美の好意に甘えて職も決めずにだらだらと過ごしている。里美に甘えてばかりではだめだ、と思いつつもずるずる無断欠勤を繰り返す毎日の中、裕一は出会い系の掲示板で出会った橋本智子(寺島しのぶ)と不倫関係に陥る。

特に生活に不満もない、だけどなんとなく満たされない。そして、責任も取りたくない。退屈な毎日を持て余した二人は意気投合し、ずるずると関係を続けてしまう。

 

裕一は安全なところでゆらゆらして、周りを傷つけるとわかっていても退屈を埋めたい、でも自分が悪者にはなりたくない。責任をとりたくない。

そういう中途半端な生き方をしながらも、どこか憎めない青年。

裕一の彼女の里美も彼を裏切りながらも、自分の生き方を定められない。

裕一も自分を裏切った親友や里美を怒れない。嫌われたくないから。

裕一の親友の今井伸二も彼を裏切った罪悪感としっかり向き合わず「これで仲悪くなるのは面倒くさいじゃん」と軽く言ってのける。

みんな本音を覆い隠して責任から逃れて、ふらふら生き続ける。

話し合い、きちんと謝る。ちゃんと本人の前で決意もする。

しかしながら、翌日からまたふらふらとこれまでの日常(裏切り)に戻っていく。

誰も責任を取りたがらないし、中途半端なことばかりしているためか、大きな問題が起こってもなんとかなる。相手も中途半端な生き方をしているためか、許してもらえる。人のことを叱れる立場にいないから。その権利がないから。

主人公たちはけして嫌な奴ではない。普通の善良な人間だ。

それでも、自分や相手のダメな部分にふたをしてへらへらしてごまかしていく彼らの生き方は、楽だろうけど嫌だなあと思ってしまう。

自分は人を傷つけてでも楽をしたい、でも悪者にはなりたくない。責任をとりたくない。

現代に多い(若者だけでなく上の世代にもたくさんいる)人の心理をうまく描いてある秀作。

 

 

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